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広島女学院中学高等学校

更新情報

2021.05.31

アメリカの小学生からの千羽鶴

毎年5月中旬,アメリカの東にあるペンシルヴェニア州の小学校の先生から小包みが届きます。ワイオミッシングという人口1万人の小さな町の小学校のグエン・ギブソン先生からです。グエン先生は毎年小学4年生にOne Thousand Paper Cranes; the Story of Sadako「禎子の千羽鶴」を教材としてとりあげています。この本を読んだ小学生達は必ず、「自分たちも千羽鶴を作りたい」と言うそうで、実際に毎年、グエン先生のクラスの生徒は千羽鶴を折っています。

そして、本当は自分たちで広島の平和公園にある平和の子の像に捧げに行きたいと思うのですが、遠すぎるし、まだ小学生で小さいので不可能です。その小学生達の思いを偶然知ったアメリカの大学生が「広島で自分たちに碑めぐり案内をしてくれた高校生なら千羽鶴を届けてくれるかも」と提案し、その碑めぐりをお世話した卒業生が当時の碑めぐり担当の教員に相談して、千羽鶴が海を渡ることになりました。始まりは2004年のことでした。

以来、立夏を過ぎた時期になるとグエン先生から子ども達が作った千羽鶴が届きます。完成した千羽鶴を誇らしげにみんなで持つ子ども達の写真が毎年添えてあります。今年は写真ではなく、子どもたちの詩が添えられていました。日本の子どももよくやる「あいうえお作文」に似ており、英語のPEACEを頭にもってきて詩を作っています。ひとつ紹介します。

People being peaceful Earth not polluted Apples growing Cats napping Everyone happy

さて、この千羽鶴は毎年、有志の生徒数名が平和の子の像のところに一緒に持っていてくれて、子の像の後ろにある千羽鶴ブースのところに捧げるシーンなどを写真におさめています。アメリカではこの時期に年度の終わりを迎える頃で、一年の想い出アルバムYearbookの制作時期でもあります。そのイヤーブックに、自分たちが作った千羽鶴を、広島の高校生が平和の子の像に捧げるシーンをおさめた写真も載せるのだそうです。

この地味な活動、細々と15年以上続いています。小学生の思いの詰まった千羽鶴を、今年も代理で平和の子の像のところに持って行く予定でしたが、緊急事態宣言を受け、断念せざるを得ませんでした。その代わり、協力を申し出てくれた生徒が子供たちひとりひとりに折り鶴を作り、羽のところに詩のことばと名前を書いてくれました。千羽鶴は教員が捧げに行きました。アメリカの小学生が喜んでくれることを願って。